2012年1月28日ブルガリア(天然資源)
ブルガリア各地で頁岩層に含まれるシェールガスの開発に反対するデモが行われ、数千人が参加した。環境保護団体などはフラッキング(水圧破砕)法と呼ばれる天然ガス採取法で地下水が汚染されたり地震が誘発されたりする恐れがあるとしている。 デモは首都のソフィアなど6都市以上で行われた。参加者は同国北東部ドブルジャ地方でのフラッキングによる試掘の計画を凍結し、非伝統的方法による採取を禁止する法律を制定するよう政府に求めた。 フラッキングは砂と化学品を混ぜた高圧水を放出して岩層のガスを採取する方法で、環境保護団体などは、これによって地下水が汚染されるほか、地震の発生、ガス井周辺の住民にがんなどの病気が起きる恐れがあるとしている。 ブルガリアの中道右派政権は昨年6月、米石油会社シェブロンが主要な穀倉地帯でもあるドブルジャ地方でガスの試掘をすることを認めた。同国はガスのほとんど全てをロシアのガスプロムからの輸入に依存しており、政府は自前のシェールガスでこの依存度を減らしたい考えだ。 デモに参加した学生のオルガ・ペトロバさん(24)は「地中にどんな化学品が入れられるのか分からないので、試掘に反対している。地下水がいったん汚染されたら、何を飲めばいいのか」と話した。 政府は「試掘はテストであり、実際のガス掘削ではない」として、こうした不安を解消しようとしたが、環境保護団体からの圧力が続いたため、欧州委員会との協議のあと、試掘前に環境への影響を調査することを決めた。 隣国のルーマニアとセルビアもシェールガスの試掘を計画しており、一方でポーランドは2014~15年にガス生産を開始する見込みだ。フランスは昨年7月にフラッキングを禁止、英国は小規模な地震が起きたことから春にブラックプール近くでの深層掘削を中止した。